ドローン元年から1年
「2015年はドローン元年」と言われてから約1年がたつ。 世界のドローン市場は年率100%以上で伸びていくとも言われている。
残念なことに日本の場合、2015年4月官邸へのドローン墜落、翌5月の善光寺の「中日庭儀大法要」中にもドローンが墜落、等立て続けに事件が起きるなど、いやなムードの中で盛り上がってきた、というところだろうか。
国土交通省は、そうした事件を受けてやっと重い腰を上げて2015年9月に航空法の一部が改正、同12月10日からドローン等の無人航空機の飛行ルールが明示された。 その内容の是非はともかく法的なインフラが整ったという意味ではドローン関係者の活動はやりやすくなったのではないだろうか。
そこでこれから数回にわたり、ドローンに関するおさらい、現状と実態、今後の行方などに関して私見を交えながらイノベーションの可能性を探っていきたい。
ドローンとの出会い
以前多摩川の近くに住んでいたこともあり、数年前まで河川敷でラジコンヘリを飛ばしているのを見て楽しんだものだ。
そんな中で初めてマルチコプター型のドローンの市場性を予感したのは6年前、2010年のCES(Consumer Electronics show) が開催されていた時にParrot社(フランス)のプロモーションビデオを見た時だと記憶している。
日本では2年前の2008年に発売になったばかりのiPhoneで自在に制御をするクアッドコプター Parrot AR Droneを見た時にはラジコンヘリとは異なる安定感、操作性、自在な動きに感動したものだ。
その時のビデオをようやく見つけたので以下に紹介する。
Parrot AR Drone Flight Demo Prototype January 2010
そもそもドローンとは
アメリカの連邦航空局(FAA)ではドローンをUAS (Unmanned Aircraft Systems)と称している。 日本では国交省傘下の国土交通省がUAV (Unmanned Aircraft Vehicle)と呼んでいる。
航空機の世界はまだまだ技術的にも発展途上にありまた航空法も国によって異なりドローンとかマ
ルチコプターのような新型の航空機が世界をまたいで浸透してきているだけに統一した定義をするのは難しい。
もともとドローンは軍事用から始まり、2013年ごろからコンシューマー用が急速に台数を伸ばしており、最近ではテロ対策が絡んでくると国によってその扱いが異なってくるのはやむをえない。
ここで少しでも整理をするために先ずは有人か無人かという視点と、航空機のタイプの2つの視点で分類してみよう。
1. 有人飛行と無人飛行
- 有人飛行の時のみ「飛行機」と称する。
- 無人飛行のときにドローン、あるいはUAS, UAV(*1)と称する。
(勿論、マルチコプター以外に固定翼機、ヘリコプター、軍用機(プレデターなど)等も含む)
2. 航空機のタイプ
先ずは「飛行機」と「航空機」の使い分けだが飛行機は航空機の一部で、
「飛行機は、動力装置を装備して有し固定翼から揚力を得ることにより空中を飛行することができる航空機」
と位置付けるのが一般的だろう。
また日本では熱気球(自由気球)は航空法上の「航空機」の対象には含まれない(「浮遊物」とされる)。
「軽航空機」、「重航空機」という分類もあるがここではフォーカスしない。
- 固定翼機
*プロペラ機(飛行機)
*ジェット機(飛行機)
*グライダー(無動力機なので「飛行機」には分類されない)
- 回転翼機(固定翼の揚力を利用しないので「飛行機」には分類されない)
*ヘリコプター
*マルチコプター
(ヘリコプターはマルチコプターに含まないのが一般的)
*飛行船(目的飛行をするため小さなプロペラが搭載されている)
(*1) UAS, UAV
UAS(Ummanned AirCraft System, Unmanned Aerial System)
UAV(Ummanned AirCraft Vihiclem, Ummanned Aerial Vihiclem)
本ブログ(「ドローンイノベーション」)ではドローンを、「有人ではなく無人で遠隔操作を基本とした航空機全般」とやわらかく定義して進めていこう。
(続く)
次回はドローンビジネスの動向を探っていきたい。
2016年4月15日